付加価値のある
ドアミラーで
走行中の安全を実現。
運転を心から楽しむために、最も大切なものは何か。自動車用ドアミラーを製造するペンストンはこの問に『安全』と答える。安全を守るための大前提としてドアミラーは、あらゆる状況でドライバーの視界を確保できるものでなければならない。さらに近年はミラー自体にも様々な機能が求められている反面、本体の軽量化も必須となるなど常に進化を促されている。新しく始まった『CX-60』のプロジェクトでもその流れは同様であり、各部署がそれぞれに課せられた要求を実現するため奮闘した。今回は品質向上という同じ課題に対した開発一課の岡本、技術課の溝部のエピソードを通じ、それぞれが製品づくりにかける想いに触れる。
概要
内 容 | CX-60のドアミラーの開発 |
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期 間 | 2年間 |
従事社員数 | 20〜30名 |
要求事項 | 品質向上・生産効率化によるコスト低減 |
試験を繰り返し信頼性を高める
時速230キロという要求事項に対応するため、岡本が重きを置いたのはミラー内部の剛性を高めることだった。「車速が上がるほど鏡面は震えてしまいます。ドアミラーの役割である視認性を損なわないよう、机上での解析と実際の製品を使った信頼性試験を繰り返しました」。品質向上のため量産車種の改善点を抽出し、顧客との打ち合わせも密に行った。トライ&エラーの中でベースの素材を見直し、軽量化も実現することができたと言う。「常に忘れないようにしているのは、お客様に満足してもらえる製品をつくりたいという想いです。今回、マツダ社の中でも重要な位置付けとなっている車種に携われたことを誇りに思います」。
機能を集約し生産を効率化
一方技術課では、高品質な製品を量産するための設備に見直しをかけていた。溝部が実施したのは機能を集約することによる不要な設備の削減だ。「課題を解決するためネジを締結するロボットの構造、パラメータなどの調整を行いました。導入初期段階ではNGが多発してしまい、適正値を導き出すために何度もネジを締め付けて確認していきました」。その努力はマシンタクト向上ばかりか設備費の低減や省エネにも繋がり、生産効率の向上を果たす大きなポイントとなった。「作業者にかかる負担が少ないような設備導入を続けていければと思います。自動車の一部、特に視野に関わる部品をつくっているためエンドユーザーが快適に使用できるものを届けたいです」。
連携を強めニーズに応える付加価値を
今回のプロジェクトでは関連部署での連携がこれまで以上に強化された。「さらなる効率化に向けて開発部署と連携を取り合いながら進めていきたいです」と言う溝部に対し岡本も「開発段階でミスが出てしまうと後工程に迷惑がかかるので、そのようなことがないよう今後も気を引き締め、作業者によって品質に差が出ない設計を心がけます」と応えた。マツダ社の新モデルとなる『CX-60』には発売直後から大きな反響があり、好意的に市場に受け入れられている。「人気のSUVモデルですので多くのユーザーに乗っていただけると思います。近年は高性能なドアミラーが多く、これからも付加価値を求められるお客様が多数いらっしゃる中で、どのようにニーズに応えていくか考えながら取り組んでいきます」。その言葉には既に次の製品づくりに向かう、プロの熱意があった。